”パン”という言葉はどこからきたの?

日本語のパンという言葉はポルトガル語のPaoから採っています。語源はラテン語です。最も早いヨーロッパ系外来語の一つで、南蛮人が種子島に上陸した際伝えられました。スペイン語のpan、フランス語のpainと同系のラテン語で、ラテン語ではpanisと書きます。日本において英国のブレッド、あるいはドイツ語のブロートという言葉以上に、一般的なパンの呼び名として普及しているところに、この言葉の日本文化への土着性が感じられます。
 ドイツ語のBrot(ブロート)はbrauen(ブラウエン=わき上がる、醸造する)から来ているが、英国のbread(ブレッド)はpiece(ピース=一片)とかloaf(ひと固まり)を意味します。break(こわす、こわれる)という英語をみるとき、このbreadがどんな意味から来た言葉か察することができます。船員たちはパンをブレッドと呼ばずにタック(tack)と呼び、堅パンをhard tack、やわらかいパンをsoft tackと呼びます。それらは、ブレッドがブレイク(破壊する)から来た言葉であるため、航海中の縁起をかついで、彼らはいつしかこう呼ぶようになったそうです。ブレッドがブレイクとあい通づるとすれば、その意味はパンの生地が酵母の作用でふくらみ、焼成中に生地がやぶれる(ブレイク)となるからです。
 民族の持つパンの意味はその民族の歴史と共に歩み、生活と深く密着しています。パンは生活風土の中でLand loaf(地方のパン)として生まれ、やがて政治的影響がからみ,National Bread(国のパン)として発展し、強い伝統的な基盤の中で、揺らぐことのない地位を形成していきます。こうしてみると私たちが世界のパンを理解する時、パン自体の質的な問題よりも文化自体の本質的な違いにゆきあたることがわかります。

参考本;パンの研究(文化史から製法まで)柴田書店

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